超越論的語用論とは何か?――ハーバーマスと共にハーバーマスに反対して考える3つの試み

カール=オットー・アーペル 著

舟場保之・久高將晃 訳

定価(本体2800円+税)
ISBN978-4-87262-031-3

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第1章 生活世界の人倫性に依拠することで「批判理論」は規範的に根拠づけられるのか? ハーバーマスと共にハーバーマスに反対して考える超越論的語用論に定位した〔第1の〕試み〔久高將晃訳〕

 


Ⅰ.前哨戦――共通する関心の地平で主要な相違点を確認する試み

Ⅱ.なぜコミュニケーション的行為の科学的理解は規範的─ 批判的に再構成可能な合理化のプロセスの統制的理念によって導かれうるし,また導かれなければならないのか? TKH の方法論的アプローチの正しさと限界

Ⅲ.どの論証スタイルが再構成的科学(「批判理論」)の根拠づけにより適しているのか? 自己回復原理を加えた超越論的語用論的な究極的根拠づけか,あるいは,この根拠づけ戦略の代わりに生活世界の疑問視された人倫性に依拠することか?

Ⅳ.超越論的語用論の究極的根拠づけは独断的な形而上学への回帰か,あるいは,この根拠づけは――たとえば,さまざまな立場が歴史的に必然的に廃れることを示唆するような─隠れた形而上学的傾向を暴露するのか?

 


第2章 超越論的語用論的観点における戦略的であることが明らかな言語使用の問題 ハーバーマスと共にハーバーマスに反対して考える〔超越論的語用論に定位した〕第2 の試み〔久高將晃訳〕

 


第3章 討議倫理学の解体?  ハーバーマスの『事実性と妥当性』における討議の差異化に関する体系について,ハーバーマスと共にハーバーマスに反対して考える,超越論的語用論に定位した第3 の試み〔舟場保之訳〕

 


Ⅰ.第1 部(緒論)――ハーバーマスによる討議の差異化に関する新しい体系に対してなされうる批判の問題

 

Ⅰ. 1 動機――ハーバーマスと共にハーバーマスに反対して考える第3 の試み

Ⅰ. 2 『事実性と妥当性』における討議の差異化に関する体系に対してなされうる批判のための第1 の手がかり――〈道徳的に中立的な〉討議原理というテーゼ

Ⅰ. 3 『事実性と妥当性』における討議の差異化に関する体系に対してなされうる批判のための第2 の手がかり――法原理と民主主義原理の同一性テーゼ

Ⅰ. 4 特別な形式の法――国家によって施行されうる強制的な規範としての法規範――は規範的な正当化を必要としないか?

 


Ⅱ.第2 部 『事実性と妥当性』の討議の差異化に関する体系を,超越論的語用論によって根拠づけられた討議倫理学の視点から改訂する試み

Ⅱ. 1 歴史と結びついた責任倫理学の基礎として,討議原理のうちに含まれている根源的な(primordial)道徳原理

Ⅱ. 1. 1 (U)原理の意味での理想的な討議道徳を規範的に根拠づけるために,道徳的に内容豊かな討議原理を想定する必然性
Ⅱ. 1. 2 補説―― 1991 年の『討議倫理学の詳解』における〈道徳的観点〉と結びついた義務的な義務づけの性格の下位規定
Ⅱ. 1. 3 〈プラグマティックな〉討議,〈倫理的─政治的な〉討議,そして〈道徳的な〉討議の関係について
Ⅱ. 1. 4 (U)の意味での理想的な討議道徳の原理を,歴史と結びついた責任倫理学としての討議倫理学の根源的な道徳原理の要求として,制度的に〈補完する〉必然性

Ⅱ. 1. 4. 1 動機づけに弱点をもつ理性道徳を,法によって〈補完する〉必然性と可能性についてのハーバーマスの根拠づけ 評価と批判
Ⅱ. 1. 4. 2 討議倫理学の責任倫理学的次元の必要性を示唆する,義務づけに関する〈期待可能性〉と〈帰責可能性〉の問題
Ⅱ. 1. 4. 3 根源的な討議原理の事実性と理想的な妥当性 超越論的語用論に根拠づけられた討議倫理学の両極に位置する状況のアプリオリと根拠づけ部門A とB の必然性
Ⅱ. 1. 4. 4 歴史と結びついた責任倫理学としての討議倫理学の,等しく条件づけられた補完的な3 つのアプローチ 1.個人的で疑似政治的な責任倫理学の要求(M. ウェーバー) 2.人間の討議共同体の制度と結びついた責任の要求 3.〈共同責任〉という討議倫理学的概念
Ⅱ. 1. 4. 5 討議倫理学の部門B という観点から見た,理想的な討議道徳,政治,そして経済に対する法の機能的な関係――さらなる問題の先取り

 

Ⅱ. 2 歴史と結びついた責任倫理学としての討議倫理学の視点における,法原理 と民主主義原理の関係

Ⅱ. 2. 1 問題設定――討議原理と民主主義原理の内的な親和性から,法原理と民主主義原理の等置は帰結するか?
Ⅱ. 2. 2 道徳と実定法の間に位置する〈人権〉――共和主義的な法治国家によって,人権を法制化し実定化する可能性に対する留保と,法制化し実定化する必然性に対する先取り.カントおよびルソーの理論の欠点
Ⅱ. 2. 3 道徳,人権,そして国民主権の媒介がルソーにおいて失敗するのは,「政治的倫理」(ハーバーマス)が優位におかれたためだけではなく,国民主権の原理そのものに個別主義が内在しているからである
Ⅱ. 2. 4 歴史と結びついた責任倫理学としての討議倫理学の視点における,道徳と人権と民主主義原理を媒介する問題のスケッチ

 

訳者あとがき〔久高將晃〕